こういった問題でお悩みの保険外交員がたくさんいらっしゃいます。
当弁護団は、保険代理店で保険外交員として働く人からの相談に対応しています。お気軽にご相談ください。
以下において、よく相談を受ける問題と当弁護団の見解をご紹介します。
給与明細に書いてある金額や、給料日に振り込まれた金額に違和感を覚えたことはありませんか?
会社から、好条件を提示されたから、その会社で働くことを決めた人もいると思います。
ところが、入社面接や採用の際に受けた説明のとおりに給与が支払われないという問題が起こっています。
求人詐欺(ブラック求人)とも言われる問題です。
弁護団には保険外交員として働く人から、こういった相談が多く寄せられています。
例えば、以下のような天引きをされているケースが散見されています。
天引き額が増えてしまい借金を負わされて、返済を迫られるという事例も起きています。
弁護団では、保険外交員に「基本給と同額の借金」を負わせている保険代理店が複数あることを確認しています。
このような場合、売上をあげられないと、毎月、会社に対する借金が一方的に積み重ねられてしまうという、ひどい仕組みになっているのです。
悪質なケースでは、会社から支払われる給与が最低賃金すら下回る水準になっているという事態も起きています。
そう考えても、実際には辞められずに困っている保険外交員もいます。
〜辞められない理由その1 不当な借金〜
保険外交員に不当な借金を負わせている保険代理店は保険外交員が退職や転職を申し出ても、この借金を返済し終わるまで、退職や転職を認めないという対応をしてくることがあります。
借金として示された金額を支払うあてがないと働き続けるしかないと考えて、ますます状況が悪化してしまう人もいます。
〜辞められない理由その2 会社からの損害賠償請求〜
こんな相談を受けることもあります。
その誓約書や合意書には、辞める保険外交員に対して、保険代理店が一方的に損害賠償請求をすることができるような条項を入れている場合があります。
親や配偶者などの親族を身元保証人として、損害賠償請求をすることができるように書面にサインさせようとするケースもあります。
そう考えて、辞められない人もいるのです。
〜辞められない理由その3 顧客を担当できなくなる〜
保険外交員にとって、担当する顧客との間で信頼関係を培うことは、大切な仕事であり、やりがいの一つでしょう。
転職先でも、引き続き今まで担当していた顧客を担当すること(保険契約の移管)を希望する人がほとんどです。
しかし、難癖をつけられて、保険契約の移管が認められなかったり、保険外交員としての資格を奪われて働けなくなってしまうというケースも起こっています。
雇用主である保険代理店は、労働契約に従って、従業員である保険外交員に対して、給与を支払わなければなりません。
どのような条件で働くことになっていたのかについては、以下のような資料を基に判断していくことになります。
〜労働契約との関係〜
本来支払うべき給与を支払っていない場合、労働契約に違反していることになります。
その場合には、未払いの給与を請求することができる可能性があります。
〜労働基準法との関係〜
給与から不当に多額の天引きをしたり、基本給を借金と取り扱う会社の行為は、労働基準法24条1項(全額払いの原則)に違反する可能性があります。
不当に積み上げられた借金については、そもそも、返済する必要がない可能性があります。
また、不当な天引きや借金扱いされた基本給分を請求することができる可能性もあります。
支払われている金額は正しいのか、どんな名目で給与から天引きされているのか、一度確認してみてください。
会社が働く人をクビにする(解雇する)ことについては制約があります。
他方で、働く人(労働者)が退職を選ぶこと、つまり、辞職は原則として自由です。
憲法18条は奴隷的拘束を禁じていますし、憲法22条は職業選択の自由を認めています。
もっとも、民法や労働基準法には、退職に関する規定があります。
会社との労働契約に、期間の定めがあるかどうかなどによって辞職理由の要否、辞職時期などが異なります。
【期間の定めのない場合(民法627条)】
理由…不要
時期…原則、退職2週間前に予告が必要
【期間の定めがある場合(民法628条)】
理由…やむを得ない事由が必要
時期…直ちに辞められる
この「やむを得ない事由」の例としては、会社が給与を支払わない、職場環境が劣悪などの場合が考えられます。
また、期間の定めがある場合であっても、入社から1年を経過している場合にはいつでも退職することができます。(労働基準法附則137条。ただし、アクチュアリーは本条の適用外。)
〜会社からの損害賠償請求〜
保険外交員が業務の過程でトラブルや事故を起こしてしまったとしても、保険外交員が全額の損害賠償責任を負うことは稀です。
また、現実に会社に損害が生じる以前に、賠償責任を認めさせる内容の合意をさせることは、労働基準法第16条が禁止する賠償予定の禁止に違反するものと考えられます。
ここで紹介した問題は一部にすぎません。
自分の働き方や待遇に疑問をもった場合、不安なことがある場合には、お気軽にご相談ください。
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